ある新人衛生士の苦悩…

…とある掲示板で、新人衛生士が「仕事のやりがい」について相談し、それに対する助言や励ましが匿名で行われているというもの。

仕事を楽しいと思ったのは何年目からですか?

この春から歯科衛生士になった新米DHです。

先輩が去年かなりの人数辞めてしまったらしく、常勤が私ともう一人ベテランの人しかいません。 メインテナンスの患者さんが多くて、なかなか教えてもらえる時間をとってもらえず、見よう見まねでスケーリングやPMTCをメインテナンスでやり続けています。

せっかく大学まで出たのに、毎日同じ作業の繰り返し正直仕事がおもしろく感じません。

せっかく取った資格なので、できるだけ続けたいのですが、周りではもう歯科衛生士をやめた子がいたりもしています。

私には向いていないのか、、続けるにしても、何年目くらいからおもしろくなってくるのか、ご意見をお願いします。

衛生士キャリア44年のカリスマ衛生士
土屋和子先生の回答はおそらくこうです…

新人衛生士が仕事の楽しさ、やりがいを体験するには時間が必要です。

衛生士の資格を取り、右も左もわからないまま、医院で仕事を始めることになります。衛生士としてだけでなく、社会人として仕事するのも初めてのことです。新人衛生士にはさまざまな葛藤があります。

まずは、社会人として仕事に慣れることが先で、仕事を楽しむことはもっともっと先になることを理解しておかないといけません。また、衛生士の仕事に誇りをもって、取り組めるようになるまでも時間がかかるということも。

私(土屋先生)も20代は「この仕事を続けていいものか…」と思っていました。ただ、環境に恵まれていました。仕事というのは、就いた環境が大きく影響します。その意味で言うと、私(土屋先生)は恵まれていました。勉強させてもらえたし、新しいことを取り入れることができる環境でした。ですので、仕事にやりがいを感じていました。

新人衛生士にとって就いた歯科医院で
2年、3年、5年と仕事をすることを考えると
環境がかなり影響してきます。

たとえば、医院にハイジーンワークがきちんできるアポイントシステムがあり、患者さんと向き合い、歯周治療を自分の能力で判断しながら進めていける環境に5年いたなら、かなり良い経験ができるわけです。

逆に流れ作業的に、ドクターから歯石がついているから、取るように指示されたことだけやっていると、衛生士自身の力量がわかりません。また、衛生士として仕事の結果がわからないのです。そうするといつまで経っても、仕事に対する自信が持てないのです。

アメリカの衛生士学校では患者さんに対してスケーリングを行い、実習しながら、学んでいきます。しかし、日本の衛生士学校では実習がほとんどできないですよね。模型を使って練習しますが、実際の臨床現場ではなかなか通用しません。

結局、衛生士学校を卒業し、就職してから、
患者さん相手に実習となってしまっています。

そのような環境において、新人衛生士をリードしてくれる、教えてくれる先輩衛生士がいるかどうかが成長に大きく影響します。

そして、患者さんに向き合う姿勢や仕事に対する向き合い方は環境によってかなり左右されます。それを構築するのが、20代前半です。ですので、新人衛生士さんには、できるだけ良い環境を選んで、体験してほしいと思いますね。

衛生士が向上心とモチベーションを高く持ち、仕事を楽しめる環境を作りたいなら…